目で見たものは、最終的には脳で処理されて見えています。
ですから、脳にストレスがかかると、目からの情報が脳できちんと処理されないので「見えていない」状態になってしまいます。

目は、脳の出先機関とよく言われます。

目の機能は、外界からの光を水晶体で屈折させ、ピントの合った状態で網膜に映しています。これだけでは、目から入った情報は脳まで届いていないのです。「見る」ためには、視神経を経由させて、網膜に映った映像を電気信号に変換して脳まで伝える必要があります。そして、脳が正しく認識して、初めて物が正しく「見える」のです。ですから、網膜で映像を捉えていたとしても、視神経や脳が正常に機能しなければ、モノを見ることはできないのです。
光を受け止める眼球と、電気信号を伝える神経細胞と、信号を認識する脳のすべてが正常に機能して、初めて見ることができるのです。

目のピントを合わせるのは、自律神経の働いているからなので、特別に意識することなく合わすことができます。しかし、ストレスの影響で自律神経のバランスが崩れると、ピントをうまく調整できなくなることがあります。
単なる疲れ目であれば、目を休めたり、マッサージなどで目の緊張を和らげてやれば、ほとんどの場合で症状は軽くなります。しかし、精神的なストレスが原因で視力が低下した場合は、ストレスの原因を取り除いてやらなければ回復することはありません。
単なる疲れ目だと思って、ストレスの原因をそのままにしていると、その症状はどんどん悪化させることになるので注意が必要です。

こういった脳がストレスで疲れて、目に見えているはずのものが認識できないことを心因性の視力障害と呼ぶことがあります。

特に注意したいのは、小学校低学年の子供に見られる心因性の視力障害です。
この年代の子供の脳は未発達であり、環境の影響を受けやすく、些細なことが原因となって脳がストレスを受けて、視力低下という症状となって現れるのです。
子供たちが受ける精神的なストレスが視力低下を引き起こす、もっとも顕著なケースと言えます。

心因性の視力障害は、通常の近視とは全く異なる原因ですので、専門家のカウンセリングなど相談して下さい。
保護者が、症状を正しく理解できれば、ストレスの原因が理解できるはずです。そうすれば、原因を取り除くことも可能になるはずです。